第37回 Continuing Educationシリーズ講習会
開催日 2007年 2月 9日(金)
ミクロンオーダーの微細流路を有するマイクロリアクター内での化学反応は、装置代表長さが微小であることより熱移動、物質移動に要する時間を非常に短くすることができ、高い反応率や高い選択性が得られることが数多く報告され、新規な反応場あるいは分析手法として、最近特に注目されています。 本講習会では、マイクロ化学の第一線の研究者を講師に迎え、マイクロ・ナノ化学チップ、マイクロ化学プロセスの基本と応用例、装置設計について最新の成果について講習いただきます。 |
日 時 | 2007年 2月 9日(金) 9:30〜17:00 |
会 場 | 東京理科大学 森戸記念館 第1フォーラム(B1) [ 東京都新宿区神楽坂4-2-2 ] |
協 賛 | 分析化学会 (社)日本化学会 化学とマイクロ・ナノシステム研究会(CHEMINAS) マイクロ化学研究会 (社)化学工学会反応工学部会 |
定 員 | 70 名 |
参加費 | 正会員 15,000円 / 法人会員の社員 20,000円 / 学生会員 2,000円 / 会員外 30,000円 (※参加費には、消費税・テキスト代が含まれます) |
お問い合わせ | お申込みの方はこちらから → 【申込フォーム】 (※申込後、自動配信にて受付番号が送信されますので、ご確認下さい) (社)化学工学会関東支部 事務局 TEL: 03-3943-3527 FAX:03-3943-3530 E-mail: info@scej-kt.org |
** プログラム **
9:35 - 10:05 | 『マイクロ・ナノ化学チップの現状と展望』 / 東京大学大学院 北森 武彦 氏 |
当グループは1998〜2003年の(財)神奈川科学技術アカデミー「インテグレーテッド・ケミストリー」プロジェクト及び東京大学において、世界を先導する日本独自のマイクロ・ナノ化学の基礎・基板技術を確立した。 また、2003〜2006年の経済産業省及びNEDOのプロジェクト「マイクロ分析・生産システムプロジェクト」では、約20社が結集して、当グループの基板技術をベースとした各種センサーやポンプ・バルブなどのマイクロ流体制御デバイスさらには、医療や環境など様々な分野における実用化目前のプロトタイプを開発した。 そこで、本講演ではこれまでの進展をまとめ、マイクロ・ナノ化学チップの現状と展望について紹介する。 |
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10:05 - 10:35 | 『マイクロ・ナノ化学チップ共通基板研究』 / 東京大学大学院 北森 武彦 氏 |
マイクロ・ナノ化学チップを実現する為の重要な技術として、流体制御技術、検出技術、加工技術が挙げられる。また、重要な方法論としてマイクロ化学プロセスの設計法が挙げられる。 しかし、重力支配の従来のマイクロスケールの化学操作を界面支配のマイクロ化学操作へそのまま小型化することは困難である。 そこで当グループは、様々なマイクロ単位操作を開発して、これらを連続流化学プロセスで接続するという汎用性の高いマイクロ化学プロセス設計法を独自に築いてきた。 そこで、本講演では、これらマイクロ化学の基盤技術および設計法について紹介する。 |
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10:35 - 11:05 | 『マイクロ流体および界面の特性と制御』 / 東京大学大学院 火原 彰秀 氏 |
マイクロ空間の流体は、乱流になりにくく層流を形成する、界面張力が支配的になるなどの様々なユニークな特性を有し、「マイクロフルイディクス」と呼ばれて新しい学問分野になりつつある。 当グループは、これらの特性を利用したマイクロ多層相流を提案して、様々なマイクロ化学プロセスを実現してきた。 そこで、本講演ではマイクロ流体および界面の特性と制御法について紹介する。 |
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11:15 - 11:45 | 『マイクロ空間の計測と分析』 / (財)神奈川科学技術アカデミー 馬渡 和真 氏 |
マイクロ化学チップは、様々な分析・合成システムの高速化、小型化などの様々な利点を有する。 しかし、一方でマイクロ空間の定量や定性などの計測という観点からは非常に困難なスケールであり、高感度な計測方法が必要になる。 そこで、本講演では当グループで独自に開発してきた熱レンズ顕微鏡や光導波路を利用したマッハツェンダー干渉計などの高感度定量法、更には室料分析やNMR分光法などの従来の定性的分析法へのチップ接続法などの各種分析法について紹介する。 |
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11:45 - 12:15 | 『分析システムへの応用』 / 名古屋大学大学院 渡慶次 学 氏 |
マイクロ化学チップは、従来の分析を桁違いに高速化・微量化・並列化できるなどの様々な特徴を有する。実際に当グループは様々な分析へと応用して有効性を実証してきた。そこで、本講演は分析への応用例として、溶媒抽出法による環境分析や生化学分野への応用、更にはガス吸収によるホルムアルデヒドなどのガス分析への追応用などについて紹介する。 |
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12:15 - 12:45 | 『合成システムへの応用』 / 東京大学大学院 上野 雅晴 氏 |
マイクロ化学チップは、これまでの分析への応用が主であった。 当グループはファインケミカルや医薬遺品などへの化学合成の高速化・並列化・高機能化などにおいても非常に有望であることを実証してきた。 また、一部ではマイクロ合成システムの実用化について成功している。 そこで本講演では、超並列合成システムや医薬品などのシリアル高効率合成システム・高機能合成システムなどへの応用例について紹介する。 |
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13:45 - 14:15 | 『バイオシステムへの応用』 / 東京大学大学院 佐藤 香枝 氏 |
マイクロ化学チップは、分析の高速化・小型化・高機能化などの様々な特徴を有し、特に医療を含むバイオへの応用は非常に有望である。 当グループでは、これまでに免疫分析システム・細胞培養システム・薬物スクリーニングシステムなど様々なバイオ応用システムを実現してきた。 そこで、本講演ではこれらの応用例について紹介する。 |
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14:15 - 14:45 | 『マイクロ空間の表面化学・電気化学』 / 東京大学大学院 金 幸夫 氏 |
マイクロ空間は、比界面積がマクロ空間に比べて桁違いに大きい為、界面や表面を積極的に利用することで高度な科学プロセスを実現できる。当グループはこれまで、マイクロチャンネル壁面の超親水・超撥水パターニング法を開発して、バルブやサブナノリットル秤量などの流体制御へ応用してきた。 また、マイクロ電極を形成して高効率・高機能化学合成などへ応用してきた。 そこで、本講演ではこれらの応用例について紹介する。 |
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14:45 - 15:15 | 『ナノ空間の溶液物性』 / 東京大学大学院 塚原 剛彦 氏 |
マイクロ化学を更に拡張してナノ空間に展開すると、従来のマイクロ空間における特性が飛躍的に向上することに加えて、新規な物性や反応など新しい化学が期待される。 実際、当グループはこれまでに、拡張ナノ空間内の水はマイクロ空間に比べ高粘度・低誘電率な性質を有することや高いプロトン移動度を有することを見出してきた。 そこで本講演では、最近新たに見出したナノ空間における特異な化学反応について述べるとともに、水物性の空間サイズ効果のメカニズムについて紹介する。 |
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15:30 - 16:30 | 『マイクロ単位操作』 / 大阪府立大学大学院 関 実 氏 |
マイクロ空間では、単位体積あたりの界面積が著しく増大し、伝熱速度・物質移動速度が増大する。 また安定な層流系が構築できるために、反応プロセスの滞留時間の精密制御が可能となる。 一方、重力や慣性力の効果に相対的に小さくなる。 このようなマイクロ空間における単位操作では、マクロなスケールとは異なる考え方も必要である。 例えば、安定な層流系を利用するとマイクロスケールに特徴的な微粒子操作が可能となる。 |
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16:30 - 17:00 | 『マイクロ化学プロセス技術知識の体系化 -知識データベースと融合したシュミレーションシステム-』 / 東京工業大学大学院 吉川 史郎 氏 |
マイクロ化学プロセス技術に関して近年、チップの作成、集積から移動現象論、単位操作技術まで広い分野において多くの成果が発表されている。 新規プロセス開発の際、それらの知識に容易にアクセスし活用できることが望まれる。 このことを念頭に開発された知識データベースとシュミレーションシステムを紹介するとともに、データベースに格納された種々階層のモデルを利用した化学プロセスに関するシュミレーションモジュールの利用について具体例を挙げて述べる。 |